仕事で家事に手が回りにくい昨今、料理でも「作り置き」という方法が主流になってきています。
食事は毎日行うもの、だからと言って炊事まで毎日行うなんて、
よほどの料理好きか何らかの修行中で精神を鍛えている、
という方以外はめんどうだと感じるのが当たり前だと思います。
かと言ってついつい外食や買ってきたお弁当だけで日々の空腹を満たすのは
健康的にもカロリーコントロール的にも経済的にも考えものですよね…。
そんな時に、一回作れば数日分は料理の手間が省ける”おかずの作り置き”というのは時間の節約にとても効果的だと思います。
そこで今回はおかずの作り置きのメリット、そして作り置きをする時に食中毒対策等、調理や保存の上で気をつける注意点をお話したいと思います。
保存容器はきちんと消毒
保存容器の清潔さ、これが作ったおかずを保存する時に最も注意したい点です。
折角作ったおかずをいつ洗ったか解らない適当な容器に入れて何日も保存しておく…というのはあまり感心しません。
当然雑菌が繁殖しやすく、鮮度も劣化しやすいです。
そのための対策として事前に容器を煮沸で消毒をする、もしくは熱に弱い容器の場合は軽く熱湯をかけるか市販の食品用アルコールスプレーを利用しましょう。
大手のピザ屋なんかでも切ったエビやピーマンなど、仕込んだ具材を冷蔵保存する時には「一度容器に食品アルコールをかけてから具材を入れるように」とマニュアル化されているくらいです。
出来上がった食べ物を入れるための容器は清潔にしておかなければいけません。
そして最後にキレイなキッチンペーパーで拭く事をお忘れなく。
熱いうちに冷蔵庫へ入れるのはNG
冷蔵庫に保存する際は”人肌以下の温度”に冷ましてから冷蔵庫や冷凍庫に入れることが鉄則です。
そうしないと冷蔵庫内の周囲の食材にも熱が伝わり、今入れたおかずだけでなく他の食べ物まで傷めてしまう原因になります。
また熱が残っている状態で急に冷蔵庫で保存すると、温度差から内部に水滴が溜り、そこから食物を腐敗させる原因もなったりします。
冬場などはキッチンのステンレスや、木のフローリング等に固く絞った布巾等を挟んで置いておくと熱を吸ってくれるので早く覚めるという裏ワザもあります。
他にも粗熱を早く取るために”保冷剤”を利用するという手もあります。
このように作ったおかずはしっかり冷ましてから冷蔵庫や冷凍庫に入れるのか長期保存の秘訣です。
清潔な取りばしやスプーンを使う
作ったおかずを容器に移す時、また保存したおかずを取り分ける時には毎回清潔なスプーンや箸を使いましょう。
たまに容器の中にスプーン等を入れっぱなしにしておく人を見かけますが、同じスプーンを使い回しておくと手で握った部分から雑菌が繁殖し、それが食材に移り日持ちが悪くなる原因にもなります
ラベル等で中身と日付をつける
容器におかずを保存するときは冷凍庫に入れておくと中が凍る事で真っ白になり、何のおかずだったか忘れてしまったり、いつ作ってどのくらい日にちが経ったかを思い出せなくなる場合があります。
そうなると万が一、他の家族がその古くなったおかずを食べてしまう…という事故にもつながりますので、日付と何のおかずかを記したラベルを貼っておくことをお勧めします。
ラベルにはマスキングテープや、大きな100円ショップでこうした容器に貼る用取り付けるタグなども売られています。
ラベルは、はがせるタイプがおすすめです。
付箋は冷蔵庫内の冷たくて乾燥している空間では剥がれやすいのであまりオススメ出来ません。
味付け、加熱もしっかりと
作ったおかずをなるべく長く保存するために”しっかり火を通す”そして”スパイス等を利用して濃い味付けにする”。
特に、肉や魚介類のタンパク質を多く含む食材はこの二つが大きな要因となります。
昔から”さしすせそ”と言うように、味噌、醤油や砂糖、酢、塩などの調味料には食材を長期保存させるための働きもあり、濃ゆい味付けにする、火を通す水分を飛ばすというのは、古くから菌の繁殖を防ぎ食べ物を保存するという知恵として受け継がれています。
ふたや内部に溜る水滴もなるべく拭く
熱いものが冷めると発生してくる湯気、これがさらに水滴になり、その水分から雑菌が繁殖する原因になります。
なのでなるべくふたなどに付いた内部の水分は拭き取るようにしましょう
その他のコツ
いくら冷凍している、濃い味付けをしているとはいえ何週間も作ったおかず持つわけではありません。
長い間冷凍しておくとおかずから独特の匂いがしてくる事もあります、これは“冷凍焼け”という現象で乾燥や酸化によっておこります。
なるべく作った日付をラベルで貼っておき、早めに食べきるようにしましょう。
ジップロックなど”密封出来る保存袋”へ入れる時にはボールに水を張り、ビニール袋ごと入れながら(水が中に入らないように)口を閉じていくと上手く空気を抜くことができます。
ストローを使うという方法もありです。
作り置きのおかずだけでなく、弁当を作る場合にも冷ましてから入れるようにしましょう。
特にごはんは熱いままだと、上に挙げたように水滴が後々つくだけでなくそのお互いの熱によっておかずが早く傷んでしまう場合もあります。
夏場などは気温も高くなりお弁当の鮮度も早く悪くなりやすく、菌の繁殖も活発になります。
保冷剤や保冷バッグなどを使用することをお勧めします。
さらに作り置きのおかずを詰める時には、サラダなどの生野菜以外は必要な量だけ取り分け、一度電子レンジなどで加熱してから詰めるとより安全です。
作り置きで得られるメリットあれこれ
では、ご家庭で作り置きすることでの基本的な約束事をご理解頂きましたので、ここからはおかずの作り置きの様々なメリットをお話していきたいと思います。
料理の手間を省くポイントですが、一度に5~6種類ぐらいのおかずを作ってしまいましょう。
お肉系、野菜系、汁物とバランスよく作るのがいいです。
そうすることで明日からは毎日料理をしなくても、冷蔵庫から取り出して皿に盛り付けるだけですぐに食事の用意ができます。
安かったのでつい多目に買いすぎてしまったスーパーの食材、皆さんも経験あると思います。
そういったものを冷蔵庫の肥やしにして悪くする前に、おかずとして作り置きしておくという解決方法もあります
食材は火を通し濃い味付けしておいた方が日持ちも伸びますし、一度に数日分作ることで光熱費の節約にもなります。
作り置きに向いている食材
食材にも日持ちしやすいものしにくいものがあるため、おかずの作りおきにも向いている野菜や肉等があります。
逆に向いていない物は生食用の野菜、半熟卵などです。
ここからは経済的で日持ちもする、そういった食材をご紹介したいと思います
まず野菜ですが、
ごぼう、にんじん、れんこんなどの根菜類も、作り置きのおかずに向いています。
これらの野菜は煮物やきんぴらのイメージばかり強いですが、実はサラダでも美味しく食べられます。
作り方のポイントは、一度下ゆでしてからサラダに調理します。
一度火を通す事で日持ちも良くなり安全です。
じゃがいも、さといも、さつまいもなどの芋類も、作り置きのおかずに向いています。
調理法ですが、あらかじめ食べやすい大きさに切っておき、少し固いかな?というくらいに加熱しておきます。
そして保存容器に入れておき、必要な分を炒め物や煮物に使ったりという方法がオススメです。
芋類も一応、味付けして保存する事も出来ますが、後日温め直す時に段々溶けて崩れやすくなるのでご注意下さい。
次に肉ですが、”豚こま肉と鶏もも肉”こちらがオススメです。
スーパーでも比較的安く売られている上に、作り置き後も味がどんどん染み込んでいくという特徴もあります。
例えばすき焼きなど普段牛肉を使うようなものに、この二つお肉を使って作り置きのおかずにしてみる、という方法もあります。
ちなみに上で挙げた”鶏モモ肉”ですが、
鶏モモと鶏ムネとの違いをちょっとだけご説明します。
あまり料理しない方には違いがよく解らないこの2つの部位、
実はそれぞれ味、食感など肉の性質に違いがあります。
まず今回オススメした”鶏モモ肉”ですが、
足の付け根からモモまでの部位で色は赤みがかっています。
程よい脂肪と栄養面でもタンパク質、鉄分ビタミンB2が豊富です。
味は鶏肉の中ではやや硬めな部類に入りますが、適度に脂がのっていてジューシーですのでそんなに気にはなりません。
コクもありいろんな料理に合いますが、特に合うのは和食で、いわゆる”引き算の料理”と言われている素材を活かした調理法です。
それ以外にも照り焼きから揚げ、煮物、そして今回ご紹介して作り置きのおかずに向いています
カロリーが気になる方は、皮を取り除いてから調理するのもありです。
なお皮は焼いた時に縮むことが多いので、事前に皮にフォークで穴を開けておくと良いでしょう
次に鶏ムネですが、
鶏はよく胸を動かすため、引き締まって脂肪も少ない、色は白っぽい肉なのが特徴です。
味わいはさっぱりとして淡白な味です。
栄養面はうまみ成分でもあるナイアシンや、イノシン酸、タンパク質が豊富なのが特徴です。
鶏胸肉はそのまま味を生かしてスープや煮込み、揚げ物や蒸し料理にはできますが、調理法によっては食感がパサパサになりやすく特徴もあります。
これは鶏ムネ肉は筋肉の膜が薄く、それによって水分が抜けやすいという性質があるからです。
そういった理由で、鶏ムネも一応作り置きおかずに出来ない事は無いのですが、鶏モモ肉に比べて若干水分が抜けてパサパサしやすい、それなりに調理法を選ぶ、といった理由から今回の作り置きおかずには鶏モモ肉の方をオススメした訳なのです。
そもそもどのくらい日持ちするのか?
生ものを除いて、通常は2~3日持ちます。
それ以上持たせたい場合は冷凍保存をしましょう、そうすればおよそ2週間は持つと言われています。
冷凍の場合はカチカチに凍りますので、一回分を小分けして保存する事をお忘れなく…。
漬物やマリネのように、塩や酢を使った料理なら冷蔵で4~5日は持ちます。
他にもひじきや切り干し大根などの煮物も、汁を見つめれば長持ちできます。
5月から11月までの暑い季節は、寒い時期よりも早めに食べきるようにしておきましょう。
保存に向いている容器
密閉できる容器は雑菌が入りにくいので保存にも適しています。
また、”ガラスやホーローの素材の容器”だと、後で温め直す時にオーブンやレンジを使えて便利な上に、汚れも落ちやすいので清潔です。
温める時の注意点として、
耐熱ガラス容器は電子レンジやオーブン、
ホーロー容器はコンロの直火と使い分けましょう。
プラスチック容器、特に耐熱性のタイプのものは値段も手頃でコンパクトに保存できます。
ただしガラスやホーローと違ってある程度の時期が経ったら劣化してくることもありますので、そろそろ洗っても汚れが落ちなくなってきたな…?と感じたら買い替えが必要になります。
まとめ
おかずの作りおきには、なるべく密封できる容器を選び入れる前にアルコールや熱湯などで消毒しましょう。
そして作ったおかずは熱いうちに冷蔵庫へは入れず、粗熱を取って人肌程度に覚ましてから冷凍、冷蔵を心がけましょう
味付けはなるべく砂糖、塩などで濃い目にすると日持ちしやすいです。
但し冷蔵ならせいぜい2~4日、冷凍なら約2週間と覚えておきましょう。
今回ご紹介した6つの食中毒対策を守りつつ、作りおきで毎日手軽に安全な栄養ある食生活をお過ごし下さいね!